
宅建業免許が必要な理由
不動産取引の仲介や販売を業として行うためには、宅地建物取引業(宅建業)の免許が必要です。
宅建業免許は、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づいて不動産取引の安全と公正を確保するために設けられた制度です。以下のような理由から免許の取得が義務付けられています:
- 消費者保護: 不動産取引は一般的に高額で、多くの消費者にとって人生で最も大きな買い物となります。専門的な知識を持つ業者による適切な説明や対応を確保し、消費者を保護する必要があります。
- 取引の適正化: 不動産の所有権や利用権の移転には複雑な法的手続きが伴います。適正な手続きを確保するために、専門知識を持つ業者による仲介が必要です。
- 市場の健全化: 資格や免許制度を設けることで、悪質な業者を排除し、不動産市場の健全な発展を促進します。
宅建業を無免許で営むと、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という厳しい罰則が科せられます。そのため、不動産の売買や仲介などを業として行う場合は、必ず宅建業免許を取得する必要があります。
宅建業免許の取得条件

一般的な要件
宅建業免許を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります:
1. 資力要件 営業所ごとに、下記の金額以上の資力(現金または預貯金)を有していること
<営業保証金の供託の場合>
- 本店:1,000万円以上
- 支店:500万円以上
<保証協会への加入の場合>
※別途入会金等かかります。
- 本店:60万円以上
- 支店:30万円以上
2. 事務所要件 適切な事務所を確保していること。事務所は以下の条件を満たす必要があります:
- 独立した業務を行える機能をもっていること
- 事務所としての外形を備えていること
3. 専任の宅地建物取引士の設置 各事務所に、専任の宅地建物取引士を以下の人数以上配置すること
- 常勤取引士が5人以下の場合:事務所ごとに1名以上
- 常勤取引士が5人を超える場合:その5人ごとに1名以上
4. 取引業者としての適格性
- 欠格事由に該当しないこと
- 誠実に義務を行い、信義則を遵守していること
欠格事由について
宅建業法では、以下のような欠格事由が定められており、これらに該当する場合は免許が取得できません:
- 破産者で復権を得ていない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから5年を経過していない者
- 宅建業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律等の違反により罰金刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから5年を経過していない者
- 宅建業の免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記のいずれかに該当する者
- 法人の役員のうちに上記のいずれかに該当する者がある法人
- 暴力団員等がその事業活動を支配する法人
- 暴力団員等をその業務に従事させ、またはその業務の補助者として使用するおそれのある者
法人の場合は、役員全員が欠格事由に該当しないことも必要です。
宅建業免許の申請手続き
申請に必要な書類
宅建業免許の申請には、以下の書類が必要です:
1. 基本書類
- 宅地建物取引業免許申請書(正本1通、副本1通)
- 略歴書
- 欠格要件に該当しないこととする誓約書
- 宅建業経歴書
- 納税証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 身分証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 登記されていないことの証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 専任の宅建士設置証明書
- 宅建業に従事する者の名簿
2. 資力証明書類
- 貸借対照表及び損益計算書(法人の場合)
- 資産に関する調書(個人の場合)
3. 事務所関係書類
- 事務所付近の地図
- 事務所のカラー写真
- 事務所を使用する権限に関する書面及び権限を確認できる書類の原本
4. 専任の取引士関係書類
- 宅地建物取引士証の写し
- 専任の宅地建物取引士の設置に関する証明書
- 専任の宅地建物取引士等に係る誓約書
5. 法人の場合の追加書類
- 登記事項証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 相談役及び顧問・100分の5以上の株主又は出資者 の記入書類
6. 個人の場合の追加書類
- 住民票(発行後3ヶ月以内のもの)
※場合により、別途書類必要な場合あり。
申請の流れ
STEP 1: 事前準備
- 事務所の確保
- 専任の宅地建物取引士の配置
- 資力の確保
- 必要書類の収集
STEP 2: 申請書の提出
- 営業所の所在地を管轄する都道府県知事または国土交通大臣に申請書を提出 (複数の都道府県に事務所を設置する場合は国土交通大臣に申請)
STEP 3: 審査
- 提出書類の審査(約1〜2ヶ月)
- 必要に応じて現地調査
STEP 4: 免許の交付
- 審査に合格すれば免許証が交付される
- 免許番号が付与される
STEP 5: 免許取得後の手続き
- 宅建業者票の掲示
- 各種保証協会への加入手続き
申請時の注意点
- 事前相談の活用:申請前に免許権者(都道府県または国土交通省)に相談することで、スムーズな申請が可能になります。
- 書類の確認:一度提出した申請書類は原則として返却されません。提出前に必要書類が揃っているか、記載内容に誤りがないかを十分確認しましょう。
- 審査期間の考慮:審査には通常1〜2ヶ月かかります。営業開始の予定がある場合は、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
- 欠格事由の確認:法人の場合、役員全員が欠格事由に該当しないことを確認する必要があります。
- 宅建士の配置計画:専任の宅地建物取引士は、他の事務所との兼任はできません。宅建士の確保・配置計画を事前に立てておくことが重要です。
- 更新時期の把握:免許の有効期間は5年間です。期限切れにならないよう、更新時期を把握しておきましょう。
宅建業免許を取得する費用
初期費用の内訳
宅建業免許を取得するためには、主に以下の費用が必要です:
1. 免許申請手数料
- 都道府県知事免許の場合申請:33,000円(新規・更新)
- 国土交通大臣免許の場合:90,000円(新規)・33,000円(更新)
2. 事務所開設費用
※家賃10万くらいとして、一般的な目安
- 賃貸物件の保証金・敷金:約60万円〜
- 内装工事費:約50万円〜
- 事務用品・備品:約30万円〜
3. 宅建士関連費用
- 宅建士の給与:月額約25万円〜
4. 各種保証協会加入費用
- 入会金、弁済業務分担金併せて:約135万円~
5. その他の初期費用
- 法人設立費用(法人の場合):約20万円〜
- 看板・表示物製作費:約5万円〜
合計すると、個人事業主の場合でも最低約200万円、法人の場合は300万円以上の初期費用が必要となる場合が多いです。
維持費用について
宅建業免許を維持するためには、以下のような継続的な費用がかかります:
1. 事務所維持費
- 家賃:月額約10万円〜
- 水道光熱費:月額約2万円〜
- インターネット・通信費:月額約1万円〜
2. 人件費
- 宅建士の給与:月額約25万円〜
- スタッフ給与(採用する場合):月額約20万円〜
3. 協会費・会費
- 保証協会会費:年間約6万円〜
4. 免許更新費用
- 更新手数料:33,000円(5年ごと)
5. その他の維持費
- 広告宣伝費:月額約5万円〜
- 業務システム利用料:月額約2万円〜
- 損害賠償保険料:年間約5万円〜
これらを合計すると、小規模な宅建業者でも年間約500万円以上の維持費がかかることが一般的です。特に人件費の占める割合が大きいため、事業計画を立てる際には十分な資金計画が必要です。
宅建業免許取得後の活動
免許取得後の登録
宅建業免許を取得した後は、円滑に業務を開始するために以下の手続きが必要になってきます:
1. 宅地建物取引業者票の掲示
免許取得後は、各営業所の見やすい場所に「宅地建物取引業者票」を掲示することが法律で義務付けられています。
2. 不動産流通機構(レインズ)への加入
物件情報の共有や仲介業務を円滑に行うために、不動産流通機構(レインズ)への加入が実質的に必要です。
3. 重要事項説明書等の書式準備
業務で使用する以下のような書式を準備します:
- 重要事項説明書
- 契約書
- 37条書面(取引状況報告書)
4. 広告掲載のための準備
不動産情報サイトへの登録や広告掲載の準備を行います。
免許更新について
宅建業免許は5年ごとに更新が必要です。更新手続きを怠ると免許が失効し、再度新規申請が必要となるため、以下のポイントに注意しましょう:
1. 更新時期の管理
- 有効期間満了の90日前から30日前までの間に更新申請を行う
- 更新時期をカレンダーに登録するなど、管理を徹底する
- 免許番号の括弧内の数字が更新回数を表しているので確認する
2. 更新手続きの流れ
- 更新申請書類の準備(新規申請時とほぼ同様の書類が必要)
- 申請書の提出(都道府県知事または国土交通大臣)
- 審査・免許証の交付
3. 更新時の注意点
- 事務所や専任の宅地建物取引士に変更がないか確認
- 欠格事由に該当していないことの確認
- 資力要件を満たしていることの証明書類の準備
4. 更新費用
- 都道府県知事免許の場合:約33,000円
- 国土交通大臣免許の場合:約33,000円
更新申請時には、過去5年間の業務実績についても報告が求められる場合があります。また、宅建業法の改正などにより、更新時の要件や手続きが変更されることもあるため、常に最新の情報を確認することが重要です。
宅建業免許の取得・更新は手続きが複雑で時間がかかりますが、適切に対応することで安定した不動産業務の運営が可能となります。
行政書士への依頼
宅建業免許の取得や更新には、多くの書類作成や要件確認、スケジュール管理が必要であり、個人で対応するには相当の労力がかかります。
行政書士は、こうした複雑な手続きを代行し、スムーズな申請をサポートいたします。
「必要な書類を揃えられるか不安」「この条件で取得できるのか知りたい」といったご相談も歓迎しております。
宅建業免許に関するお悩みやご質問がありましたら、ぜひ一度、行政書士へご相談ください。

