特定技能制度の運用が本格化する中、ベトナムからの人材受け入れを検討する企業が増加しています。しかし、ベトナムからの特定技能外国人受け入れには「推薦状」という独特の制度があり、多くの方が手続きに困惑されているのが現状です。
この記事では、ベトナムの特定技能制度における推薦状の重要性と取得方法、日本とベトナムの二国間協定の内容について、行政書士の視点から詳しく解説します。適切な理解と準備により、スムーズな受け入れ手続きを実現しましょう。
ベトナムの特定技能制度と推薦状の重要性
ベトナムからの特定技能外国人受け入れは、他国とは異なる特別な制度が設けられています。特に推薦状制度は、ベトナム政府による労働者保護政策の一環として導入されており、この制度を理解せずに受け入れ手続きを進めることはできません。
特定技能制度とは
特定技能制度の概要
特定技能制度は、2019年4月に施行された新しい在留資格制度です。深刻化する人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れを目的としています。
この制度の特徴は、従来の技能実習制度とは異なり、「労働者」として外国人を受け入れる点にあります。転職も一定の条件下で認められており、より柔軟な労働環境の実現が可能です。
特定技能には1号と2号があり、1号は特定産業分野において相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務、2号は同分野において熟練した技能を要する業務に従事する外国人が対象となります。
特定技能の対象職種
2025年現在、特定技能1号の対象となる特定産業分野は16分野です。となっています。
ベトナムからの受け入れで特に多いのは、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の分野です。これらの分野では、ベトナム人労働者の勤勉さと適応能力の高さが評価されています。
受入れ分野ごとに5年間の受入れ見込数が設定されており、需要と供給のバランスを保つよう配慮されています。また、分野ごとに必要な技能水準や日本語能力が定められています。
ベトナムにおける特定技能の推薦状
推薦状の役割と重要性
ベトナムからの特定技能外国人受け入れにおいて、推薦状は必須の書類です。これは、ベトナム政府が自国民の海外就労を適切に管理し、労働者の権利を保護するために導入した制度です。
推薦状がなければ、ベトナム人は特定技能の在留資格で日本に入国することができません。つまり、推薦状の取得は、ベトナムからの人材受け入れの第一歩と言えるでしょう。
推薦状制度により、ベトナム政府は自国民の海外就労状況を把握し、必要に応じて保護措置を講じることができます。また、悪質な仲介業者による搾取を防ぐ効果も期待されています。
ベトナム政府からの推薦状の取得・承認方法
推薦状の取得は、
① ベトナムにいる方を新たに特定技能外国人として受け入れる場合
DOLAB(※ベトナム労働・傷病兵・社会問題省(MOLISA)」の海外労働管理局のこと)が窓口となります。
取得手続きには、送出機関がベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)において手続を行う必要があります。
② 日本に在留するベトナム人の方を特定技能外国人として受け入れる場合
本人又は受入れ機関等が駐日ベトナム大使館において手続を行う必要があります。
申請が承認されると、具体的な労働者に対する推薦状が発行されます。推薦状には、労働者の個人情報、受け入れ機関の情報などが記載されており、これが日本での在留資格申請の際に必要となります。
日本とベトナムの二国間協定
二国間協定の概要
日本とベトナムは、特定技能制度に関する二国間の協力覚書を締結しています。この協定は、両国間での適切な労働者の送り出し・受け入れを確保することを目的としています。
協定の主な内容は、送り出し手続きの適正化、労働者の権利保護、情報共有体制の構築などです。また、悪質な仲介業者の排除や、労働者の技能向上支援なども含まれています。
この協定により、ベトナムからの特定技能外国人受け入れは、より安全で透明性の高い制度として運用されています。両国政府の連携により、労働者と受け入れ機関の双方にとってメリットのある制度の実現を目指しています。
ベトナム政府が誓約した重要事項
ベトナム政府は、二国間協定において以下の事項を誓約しています。
まず、適切な送り出し機関の認定と監督です。ベトナム政府は、送り出し機関に対する厳格な審査を実施し、悪質な業者を排除することを約束しています。
日本政府が誓約した重要事項
一方、日本政府も労働基準法等の関係法令の遵守、適切な労働条件の確保などが求められています。
また、労働者の権利保護として、労働条件の明確化や受入機関の費用分担についてガイドラインに含めることなどが約束されています。
さらに、両国間での情報共有体制の構築により、問題が発生した場合の迅速な対応を可能にしています。
行政書士の役割
行政書士によるビザ申請サポート
ベトナムからの特定技能外国人受け入れにおいて、行政書士は重要な役割を果たします。特に、在留資格の申請手続きは専門知識が必要で、行政書士のサポートが不可欠です。
行政書士は、在留資格認定証明書交付申請の代理や、必要書類の作成・収集を行います。また、推薦状の取得プロセスについてもアドバイスを提供し、スムーズな手続きをサポートします。
さらに、入国後の各種手続きについても継続的なサポートを提供できます。在留期間の更新、在留資格の変更、永住許可申請など、長期的な観点からのサポートが可能です。
特定技能取得における行政書士の関与
特定技能の在留資格取得プロセスにおいて、行政書士は以下のような業務を行います。
まず、受け入れ機関の要件確認です。特定技能外国人を受け入れるためには、企業側にも一定の要件があり、これらの確認と必要な準備についてアドバイスを行います。
次に、技能試験や日本語試験の情報提供です。ベトナム人労働者が日本で特定技能の資格を取得するためには、これらの試験に合格する必要があり、試験情報の提供や受験サポートを行います。
さらに、雇用契約書の作成支援も重要な業務です。特定技能制度では、適切な雇用契約の締結が求められており、法令に適合した契約書の作成をサポートします。
特定技能を持つベトナム人の受入れフロー
ベトナムから日本への受入れプロセス
ベトナムからの特定技能外国人受け入れプロセスは、以下のようなステップで進行します。
まず、受け入れ機関の要件確認と準備を行います。企業の事業内容、財務状況、外国人受け入れ体制などを整備し、特定技能外国人を受け入れる準備を整えます。
次に、ベトナム政府への推薦状申請を行います。労働者の選定を行い、必要書類を準備してベトナムのDOLAB又は駐日ベトナム大使館に申請します。
推薦状が発行されたら、日本での在留資格認定証明書交付申請を行います。推薦状、雇用契約書、特定技能所属機関概要書などを添付して、出入国在留管理局に申請します。
まとめ
ベトナム 特定技能 推薦状の取得ポイント
ベトナムからの特定技能外国人受け入れを成功させるためには、推薦状制度の理解が不可欠です。推薦状は単なる書類ではなく、ベトナム政府による労働者保護制度の一環であることを理解する必要があります。
取得のポイントとしては、まず受け入れ機関としての要件を満たすことです。適切な事業内容、安定した財務状況、外国人受け入れ体制の整備などが求められます。
次に、労働条件の明確化と法令遵守が重要です。ベトナム政府は労働者の権利保護を重視しており、適切な労働条件の提供が推薦状発行の前提となります。
さらに、手続きの透明性と適切な仲介業者の選定も重要なポイントです。悪質な業者を避け、信頼できるパートナーとの協力により、スムーズな手続きを実現できます。
今後の展望と注意点
特定技能制度は今後も拡充が予想される制度です。ベトナムからの受け入れについても、手続きの効率化や支援体制の充実が進められると考えられます。
一方で、ベトナム政府の労働者保護政策はより厳格になる傾向があり、推薦状制度も強化される可能性があります。継続的な制度の変更に注意を払い、適切な対応を行うことが重要です。
また、労働者の定着率向上も重要な課題です。単に受け入れるだけでなく、長期的な雇用関係の構築と労働者の成長支援を通じて、互いにメリットのある関係を築くことが求められています。
これからベトナムからの特定技能外国人受け入れを検討される企業の皆様には、早期の準備と専門家への相談をお勧めします。適切な手続きと準備により、優秀な人材の確保と事業の発展を実現していただければと思います。


