2025年6月-風営法改正と悪質ホストクラブの影響

風俗営業

近年、悪質なホストクラブによる被害が社会問題として注目を集めています。女性客に多額の借金を負わせ、その返済のために売春や風俗店での勤務を強要するケースが相次いで報告され、政府もついに本格的な対策に乗り出しました。2025年5月20日に成立した改正風営法は、こうした悪質な営業手法に対して厳しい規制を設けることで、業界の健全化を図ろうとしています。

風営法改正の概要

改正の背景と目的

2025年6月の風営法改正は、悪質なホストクラブによる被害の深刻化を受けて実現しました。特に問題となっているのは、ホストが女性客の恋愛感情を利用して高額な飲食代金を消費させる「色恋営業」と、支払いができない女性に対して売春や風俗店での勤務を斡旋する「スカウトバック」制度です。

これらの問題は単なる商取引の範囲を超え、女性の人権を侵害し、社会の健全性を損なう深刻な事態を招いています。政府は、こうした悪質な営業手法を法的に規制することで、被害者の保護と業界の健全化を同時に実現しようと考えています。

改正法の最大の目的は、女性客を食い物にする悪質な営業手法を根絶し、ホストクラブ業界全体のイメージ向上と健全な発展を促進することにあります。

また、改正法は、ホストクラブだけでなく、キャバクラやラウンジ等の接待飲食業全体に適用されます。

今回の記事の法改正は2025年6月28日より施行されます。

主要な改正内容

今回の改正では、接待飲食営業を営む風俗営業者に対して複数の遵守事項が新たに追加されました。

まず、料金に関する虚偽の説明が明確に禁止されました。これまで曖昧だった料金体系の説明義務が法的に明文化され、客に対して正確な料金情報を提供することが義務付けられています。

次に、客の恋愛感情に付け込んだ飲食等の要求が禁止されました。いわゆる「色恋営業」の中核的な手法が法的に規制されることになり、恋愛感情を利用した過度な消費の誘導が不可能になります。

さらに、売掛金の支払いのために売春や風俗店での勤務を要求・斡旋する行為も厳格に禁止されました。従来のスカウトバック制度は完全に違法行為となり、違反者には厳しい罰則が科せられます。

悪質ホストクラブとは

悪質ホストクラブの特徴

悪質ホストクラブの最大の特徴は、客である女性の心理的弱さや恋愛感情を巧妙に利用して、異常に高額な料金を支払わせる点にあります。

一般的なホストクラブでは、接客やエンターテインメントの対価として合理的な料金設定がなされていますが、悪質な店舗では、女性の恋愛感情を刺激することで判断力を鈍らせ、本来であれば支払うはずのない高額な料金を消費させます。

また、支払い能力を超えた消費を促すために「売掛」制度を悪用し、女性が支払いに困ると、その弱みに付け込んで売春や風俗店での勤務を強要するケースも頻発しています。

これらの店舗では、女性客を「顧客」ではなく「搾取の対象」として扱っており、健全な商取引の枠組みを大きく逸脱した営業が行われているのが実情です。

ストーカー行為と色恋営業の問題

悪質ホストクラブで特に問題視されているのが「色恋営業」と呼ばれる手法です。これは、ホストが女性客に対して本気の恋愛感情があるかのように演技し、その気持ちを利用して高額な消費を促す営業方法です。

色恋営業では、ホストが女性に対して「特別な関係」であることを示唆し、「愛情の証」として高額な飲食代金やプレゼント代金の支払いを求めます。女性は恋愛感情に支配され、冷静な判断ができない状態で多額の借金を抱えることになります。

さらに深刻なのは、このような関係性が店外でも継続し、ホストが女性に対してストーカー行為に近い執拗な接触を続けるケースです。女性の職場や自宅への連絡、SNSでの監視、借金返済のための圧力など、女性の日常生活を脅かす行為が横行しているのが現状です。

これらの行為は、女性の精神的健康を著しく損ない、社会復帰を困難にする深刻な人権侵害として認識されています。

風営法改正による規制強化

新たに禁止される営業手法

改正風営法では、従来グレーゾーンとされていた営業手法が明確に禁止行為として規定されました。

最も重要な禁止事項は「色恋営業」の法的な規制です。客の恋愛感情に付け込んで飲食等を要求する行為が明確に違法行為として位置づけられ、これまで「営業の自由」として看過されてきた手法が法的に排除されることになります。

また、料金に関する虚偽説明も厳格に禁止されました。曖昧な料金表示や後からの追加請求、意図的に安価に見せかける料金体系など、客を欺く料金設定に関する一切の行為が違法となります。

さらに、売掛金返済のための売春要求や風俗店での勤務斡旋も完全に禁止されました。従来のスカウトバック制度は法的に根絶され、女性を性産業に誘導することで利益を得る仕組みが完全に違法化されます。

罰則の強化とその影響

改正風営法では、無許可営業に対する罰則も大幅に強化されました。

風俗営業を無許可にて行っていた場合は、2年以下の拘禁系から5年以下の拘禁系への引き上げ。
また、両罰規定※に係る法人の罰則が200万円以下から3億円以下の罰金に引き上げられました。

※法人の従業員や役員が、その法人の業務に関して違法行為を行った場合、行為者だけでなく、法人も併せて処罰する規定

この罰則強化により、悪質な営業手法を行うことのリスクとコストが飛躍的に高まり、業界全体の営業方針の根本的な見直しが求められることになります。経営者にとって、法令違反は事業継続を困難にする致命的なリスクとなるため、コンプライアンス体制の整備が急務となっています。

風営法改正がもたらす影響

業界全体への影響

風営法改正は、ホストクラブ業界全体に根本的な変革をもたらすことが予想されます。

まず、営業スタイルの大幅な見直しが必要になります。これまで業界の主流だった色恋営業が完全に禁止されることで、多くの店舗が新たな接客手法の開発を迫られることになります。エンターテインメント性やサービス品質の向上による差別化が、今後の競争の核心となるでしょう。

また、料金体系の透明化も業界全体の課題となります。曖昧だった料金設定が法的に規制されることで、より明確で合理的な価格体系の構築が求められます。これにより、健全な競争環境が形成され、サービス品質の向上が促進されることが期待されています。

さらに、従業員教育とコンプライアンス体制の整備が急務となります。法改正により刑事罰の対象となる行為が明確化されたため、従業員に対する法令遵守教育が事業継続の前提条件となります。

悪質ホストクラブへの具体的な影響

悪質な営業手法に依存していた店舗にとって、今回の法改正は事業モデルの根本的な転換を迫る決定的な変化となります。

色恋営業やスカウトバック制度を収益の柱としていた店舗では、これらの手法が完全に違法化されることで、従来の事業モデルが成立しなくなります。新たな営業手法の開発ができない店舗は、事業継続が困難になる可能性が高いでしょう。

また、高額な罰金リスクにより、違法行為を続けることの経済的コストが飛躍的に高まります。最大3億円の罰金は、多くの中小事業者にとって致命的な打撃となるため、法令遵守への動機付けが格段に強化されます。

さらに、摘発リスクの増大により、これまで見逃されてきた違法行為が厳格に取り締まられることになります。行政や警察による監視体制も強化されることが予想され、悪質な営業を続けることは実質的に不可能になるでしょう。

より安全なホストクラブの未来

消費者保護の促進

風営法改正により、ホストクラブを利用する女性客の保護が大幅に強化されることになります。

料金の透明化により、利用前に正確なコスト計算が可能になり、想定外の高額請求を避けることができます。また、色恋営業の禁止により、恋愛感情を利用した判断力の阻害が法的に防止され、冷静な消費判断が促進されます。

さらに、売春や風俗勤務の強要が完全に違法化されることで、借金を理由とした人権侵害が根絶されることが期待されます。女性が安心してエンターテインメントサービスを楽しめる環境の整備が進むでしょう。

業界の健全化に向けて

今回の法改正は、ホストクラブ業界全体の健全化と発展のための重要な転換点となります。

悪質な営業手法の排除により、真に価値あるサービスを提供する店舗が適正に評価される環境が整備されます。接客技術、エンターテインメント性、ホスピタリティなど、本来のサービス業としての競争が促進されることで、業界全体のサービス品質向上が期待されます。

また、法令遵守が事業継続の前提となることで、経営者の意識改革も進むでしょう。短期的な利益追求ではなく、持続可能で社会的に責任ある事業運営が業界の新たな標準となることが予想されます。

最終的には、ホストクラブが健全なエンターテインメント産業として社会に受け入れられ、利用者、従業員、経営者すべてにとって価値ある業界へと発展することが期待されています。風営法改正は、そのための重要な第一歩として位置づけられており、業界関係者には法令遵守と健全な事業運営への転換が強く求められています。

<下記参考ホームページ>

大阪府警察:

悪質ホストクラブ対策等に関する風営法改正について(令和7年6月)|大阪府警本部
料金に関する虚偽説明 客の恋愛感情等につけ込んだ飲食等の要求 客が注文していない飲食等の提供