
外国人の方が日本で生活や就労をするためには、適切な在留資格(ビザ)を取得することが必要不可欠です。しかし、ビザ申請の手続きは複雑で、必要書類も多岐にわたります。そんな時に頼りになるのが、入管業務を専門とする行政書士です。
在留資格ビザ申請における行政書士の役割や依頼するメリット、費用などについて詳しく解説します。これからビザ申請を検討されている方や、現在の手続きに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
在留資格ビザとは
在留資格の種類と目的
在留資格は、外国人が日本に滞在する際の法的地位を示すものです。現在、日本には29種類の在留資格が設けられており、それぞれ異なる活動内容や滞在期間が定められています。
主な在留資格には以下のようなものがあります:
就労系の在留資格
- 技術・人文知識・国際業務:IT技術者、通訳、海外業務担当者など
- 技能:外国料理のコック、外国特有の建築技術や土木技術を活かした業務、スポーツ指導者、パイロットなど
- 特定技能:介護、建設、農業などの分野での就労
- 経営・管理:会社経営者や管理職
身分・地位系の在留資格
- 永住者:永続的に日本に居住する外国人
- 日本人の配偶者等:日本人と結婚した外国人やその子
- 定住者:日系人や難民認定者など
その他の在留資格
- 留学:大学や専門学校で学ぶ学生
- 家族滞在:就労ビザ保持者の配偶者や子
- 観光:短期滞在での観光や商用目的
それぞれの在留資格には、取得要件や活動範囲が明確に定められているため、目的に応じて適切な資格を選択することが重要です。
ビザ申請の基本的な流れ
ビザ申請の手続きは、申請する在留資格や個人の状況によって異なりますが、基本的な流れは以下の通りです:
1. 申請書類の準備 申請書、証明写真、パスポート、在職証明書、財政証明書など、必要書類を揃えます。書類は日本語または英語で作成する必要があり、外国語の書類には翻訳が必要です。
2. 出入国在留管理局への申請 準備した書類を管轄の出入国在留管理局に提出します。申請時には、申請人本人が出頭することが原則ですが、行政書士に依頼した場合は代理申請が可能です。
3. 審査期間 審査期間は申請内容によって異なりますが、通常1~3ヶ月程度かかります。審査中に追加書類の提出を求められることもあります。
4. 結果通知 審査が完了すると、許可または不許可の通知が届きます。許可の場合は在留カードが交付され、不許可の場合は理由が通知されます。
この一連の流れの中で、書類の準備や申請手続きには専門的な知識が必要となるため、多くの方が行政書士に依頼することを選択しています。
行政書士に依頼する理由
複雑な手続きを専門家に任せる利点
在留資格の申請手続きを行政書士に依頼することには、多くのメリットがあります。
◆専門知識による的確なアドバイス
入管法は頻繁に改正されており、最新の法令や運用方針を把握するのは困難です。行政書士は常に最新の情報をキャッチアップしており、個々のケースに応じた最適な申請方法をアドバイスできます。
◆書類作成の負担軽減
ビザ申請には多くの書類が必要で、記載内容にも細かな規定があります。行政書士に依頼することで、書類作成の手間を大幅に削減でき、記入ミスによる不許可リスクも軽減できます。
◆代理申請による時間節約
出入国在留管理局は平日のみの受付で、窓口での待ち時間も長いことが多いです。行政書士による代理申請を利用すれば、仕事を休んで窓口に行く必要がありません。
◆不許可リスクの軽減
申請書類に不備があったり、申請理由の説明が不十分だったりすると、不許可になる可能性があります。行政書士が関与することで、許可の可能性を最大限に高めることができます。
費用対効果について
行政書士に依頼すると報酬が発生しますが、以下の観点から費用対効果は高いといえます:
◆時間コストの削減
自分で申請する場合、情報収集から書類作成、窓口での手続きまで相当な時間を要します。この時間を本業や他の重要なことに使える価値は、報酬以上に大きいでしょう。
◆不許可時のリスク回避
一度不許可になると、再申請までに時間がかかり、その間の滞在や就労に支障をきたす可能性があります。確実な許可を得ることで、こうしたリスクを回避できます。
◆精神的負担の軽減
複雑な手続きに対する不安やストレスは、日常生活に大きな影響を与えます。専門家に任せることで、安心して本来の活動に集中できます。
行政書士の業務内容
在留資格申請の手続きサポート
行政書士が提供する在留資格申請サポートには、以下のような業務が含まれます:
◆相談・診断
現在の状況をヒアリングし、適切な在留資格の選択や申請の可能性について診断します。複数の選択肢がある場合は、それぞれのメリット・デメリットを説明します。
◆書類作成・収集
申請書の作成から、理由書、証明書類の収集まで、必要な書類を包括的にサポートします。外国語書類の翻訳も対応可能です。
◆申請取次
出入国在留管理局への申請手続きを本人に代わって提出することができます。追加書類の提出や審査官との面談にも同行できます。
◆進捗管理
申請後の審査状況を定期的に確認し、追加書類が必要な場合は迅速に対応します。
ビザ変更や更新の流れ
既に日本に滞在している方の在留資格変更や更新についても、行政書士のサポートが有効です。
◆在留資格変更
転職や結婚などにより活動内容が変わった場合、在留資格の変更申請が必要です。変更理由の説明や新しい活動内容の立証が重要になります。
◆在留期間更新
在留期間の満了前に更新申請を行います。更新時には、これまでの活動実績や今後の活動予定を詳しく説明する必要があります。
◆永住許可申請
日本での長期滞在を希望する場合、永住許可申請を検討できます。素行、独立生計、国益適合性など、厳格な要件があるため、綿密な準備が必要です。
特定技能ビザや永住ビザの申請
◆特定技能ビザ
2019年に新設された特定技能は、人手不足が深刻ないくつかの分野での就労を目的とした在留資格です。技能試験の合格や日本語能力の証明が必要で、受入機関との適切な契約も重要になります。
◆永住ビザ
永住許可は最も厳格な審査が行われる申請の一つです。10年以上の継続滞在、5年以上の就労資格での滞在、安定した収入、納税義務の履行など、多くの要件を満たす必要があります。
これらの複雑な申請についても、経験豊富な行政書士であれば、個々のケースに応じた最適な戦略を立てることができます。
料金と報酬について
行政書士への依頼費用の相場
行政書士への依頼費用は、申請する在留資格の種類や手続きの複雑さによって異なります。一般的な相場は以下の通りです:
新規申請(認定証明書交付申請)
- 就労ビザ:10万円~20万円
- 身分系ビザ:8万円~15万円
- 留学ビザ:5万円~10万円
在留資格変更
- 就労ビザ間の変更:8万円~15万円
- 留学から就労への変更:10万円~18万円
- 身分系への変更:10万円~20万円
在留期間更新
- 就労ビザの更新:5万円~10万円
- 身分系ビザの更新:5万円~8万円
永住許可申請
- 15万円~30万円
これらの金額は目安であり、実際の費用は事案の複雑さや必要な作業量によって変動します。
ビザ申請にかかる全体費用
ビザ申請にかかる費用は、行政書士報酬以外にも以下のようなものがあります:
政府手数料
- 在留資格認定証明書交付申請:無料
- 在留資格変更・更新:(窓口)6,000円
(オンライン)5,500円 - 永住許可申請:10,000円
※2025年4月1日現在
書類取得費用
- 住民票、納税証明書、在職証明書など:約1千円~
- 翻訳費用:1ページあたり約2,000円~
その他の費用
- 証明写真代、交通費、郵送費など
全体の費用を事前に把握し、予算内で最適なサポートを受けることが重要です。
成功報酬について
一部の行政書士事務所では、成功報酬制を採用している場合があります。
成功報酬制のメリット
- 初期費用を抑えられる
- 不許可の場合の費用リスクが軽減される
- 行政書士の真剣度が高まる
注意点
- 成功報酬の割合や条件を事前に確認する
- 不許可時の費用負担について明確にしておく
- 総額が通常の報酬より高額になる可能性もある
成功報酬制を選択する際は、契約内容をよく理解し、納得した上で依頼することが大切です。
よくある質問
行政書士にビザ申請を依頼するといくらかかるのか
ビザ申請を行政書士に依頼する場合の費用は、申請する在留資格や事案の複雑さによって大きく異なります。
最も一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の新規申請の場合、報酬相場は約10万円~20万円程度です。これに加えて、政府への手数料や書類取得費用などを含めると、総額で約12万円~25万円程度が目安となります。
一方、在留期間の更新申請であれば、報酬は約5万円~10万円程度と比較的安価になります。永住許可申請のような複雑な手続きでは、約15万円~30万円の報酬が相場となっています。
費用を抑えたい場合は、複数の事務所から見積もりを取り、サービス内容と報酬のバランスを比較検討することをお勧めします。
ビザ更新の行政書士報酬はどのくらいか
在留期間更新申請の行政書士報酬は、新規申請と比べて安価に設定されていることが一般的です。
就労ビザの更新:5万円~10万円 身分系ビザの更新:5万円~8万円 留学ビザの更新:3万円~7万円
ただし、以下のような場合は報酬が高くなることがあります:
- 転職や活動内容の変更がある場合
- 過去に法令違反があった場合
- 収入や納税状況に問題がある場合
- 複雑な説明書類が必要な場合
更新申請は比較的手続きが簡単ですが、不許可になると日本での滞在継続に支障をきたすため、安全を期して専門家に依頼する方が多いのが現状です。
日本でビザを取得するための条件とは
日本でビザを取得するための条件は、申請する在留資格によって大きく異なりますが、共通する基本的な要件があります。
共通要件
- 申請する在留資格に対応する活動を行うこと
- 素行が善良であること
- 独立して生計を営むに足る資産または技能を有すること
- その他公安や公衆衛生上の観点から問題がないこと
就労ビザの場合
- 学歴または実務経験が業務内容と関連していること
- 受入企業との雇用契約が適切であること
- 日本人と同等以上の報酬を受けること
身分系ビザの場合
- 日本人との親族関係や結婚関係が真実であること
- 安定した生活基盤があること
永住許可の場合
- 10年以上継続して在留していること
- 現在有する在留資格の最長期間で在留していること
- 公的義務を適正に履行していること
これらの条件を満たしているかどうかの判断は複雑で、個別のケースによって異なるため、専門家に相談することが重要です。
相談する際のポイント
事前に準備しておくべき書類
行政書士への相談をスムーズに進めるために、以下の書類を事前に準備しておくことをお勧めします:
基本書類
- パスポート
- 在留カード(既に日本に滞在している場合)
- 住民票
- 納税証明書
- 課税証明書
就労関係書類
- 雇用契約書
- 在職証明書
- 給与明細書
- 会社の登記簿謄本
学歴・資格関係書類
- 卒業証明書
- 成績証明書
- 資格証明書
身分関係書類
- 戸籍謄本(結婚の場合)
- 出生証明書
- 家族関係証明書
これらの書類は申請時に必要になることが多いため、事前に準備しておくことで、手続きを迅速に進めることができます。
相談時に確認すべき内容
行政書士に相談する際は、以下の点について確認することが重要です:
◆申請の可能性と成功率
現在の状況で申請が可能かどうか、また許可される可能性がどの程度あるかを確認してください。リスクがある場合は、その理由と対策についても説明を求めましょう。
◆必要書類と準備期間
申請に必要な書類の一覧と、それぞれの取得方法、準備にかかる期間を確認してください。書類によっては取得に時間がかかるものもあります。
◆手続きの流れとスケジュール
申請から結果が出るまでの流れと、おおよその期間を確認してください。審査期間中の注意点についても聞いておきましょう。
◆費用の詳細
報酬の内訳、支払い時期、追加費用の可能性について詳しく確認してください。不許可時の対応についても事前に取り決めておくことが大切です。
◆サポート内容
どこまでの業務が含まれているか、申請後のフォローアップについても確認してください。
まとめ
行政書士を活用してスムーズなビザ取得を
在留資格ビザの申請は、日本で生活や就労を継続するために欠かせない重要な手続きです。しかし、その手続きは複雑で、専門的な知識を要求されることが多いのが現実です。
行政書士に依頼することで、以下のようなメリットを得ることができます:
- 専門知識に基づく的確なアドバイス
- 複雑な書類作成の負担軽減
- 代理申請による時間節約
- 不許可リスクの軽減
- 最新の法改正への対応
費用はかかりますが、時間コストや不許可リスクを考慮すれば、十分に価値のある投資といえるでしょう。特に、初回申請や複雑なケースでは、専門家のサポートが成功への近道となります。
在留資格(ビザ)申請に関するお悩みやご質問がありましたら、ぜひ行政書士へご相談ください。

